会長挨拶

第23回認知神経科学会学術集会を 2018年6月21日(木) 22日(金)の 2日間 マホロバ・マインズ三浦(神奈川県)で開催いたします。テーマは「古典神経心理学を超えて」です。

学会のプログラムをご紹介します。招待講演を New York University School of Medicine の Goldberg 先生にお願いしました。The executive brain の著者として知られ神経心理学者、脳科学者です。創造性、社会と脳についての講演ですが、左右半球の役割、創造性がどう生まれるかなどに関する先生のお話は必ずや聴衆を引きつけることでしょう。特別講演として東京大学神経内科教授に就任された戸田達史先生から、認知機能と遺伝子というお話をお伺いします。知性、さまざまな認知能力と遺伝子はどう関わるかは、今までこの学会が取り上げて来なかったテーマであり注目の講演です。教育講演として、共感覚について東京大学人文社会系横澤一彦先生がお話しされます。この共感覚は特殊なものではなく、ヒトの認識に深く関わるものと思われ、最近の進歩をぜひお聞きしたく思います。王子こころのクリニック杉下 守弘先生による講演は、本学術集会のテーマにふさわしく、今後の神経心理学の発展を願う者にとっては必聴の講演でしょう。さて入門者向けの本はやさしく書かれていると思われています。だが1を聞くと1を知ることを前提にして書かれているので、読んでもついていけなくなるのが実情です。神経心理の初歩を勉強されたい方はぜひ筑波病院小野内健司先生の講演をお聞き下さい。シンポジウムは、前頭前野が果たす機能についてであり英語で行われます。歴史的な症例の蓄積、主にサルを用いた破壊実験や単一ニューロンの実験の成果、さらに最近の機能画像の発達などが加わって前頭葉の研究は進んできています。海外からお二人のシステム神経生理学者をお招きし、我が国の臨床研究者と一堂に会して、前頭葉の歴史と未来を展望し、現在の地点を確認する機会にしたいと思います。また一般口演が日本語で行われます。ポスターセッションとは異なり、今回は一会場で開かれます。臨床から基礎の幅広いテーマで、小児から認知症の高齢者を対象とした研究成果が発表されます。ぜひご活発な議論をお願いします。

一日目懇親会が開かれた後に夜のセミナーを開きます。大槻美佳先生の失語症についての豊富な経験に根ざしたもので、いつもながらのわかりやすくしかも深いものになると思います。今回の学術集会は、皆が同じ所に宿泊し、会場で膝をつきあわせて討論するという会を目指しています。この夜のセミナーが最もそれを表すものと思います。風光明媚なところにあるこのマホロバ・マインズに是非お泊りくださり、学術集会を盛り上げてください。お申込みがまだの方は、いますぐホームページより参加申し込みをお願いいたします。

また例年どおりこの学会のサテライトとして認知症検査講習会を、学会の翌日 6月23日の土曜日午後に東京医科歯科大学1号館(湯島キャンパス)で行います。 DSM-V と神経心理検査について、ADAS-COG-J の認定などです。こちらも奮ってご参加下さい。

平成30年5月吉日
第23回認知神経科学会学術集会
会長 武田 克彦
文京認知神経科学研究所